INTERVIEW

代表取締役 加藤 範幸

3D-CAD導入により業界が大きく変わっていく。
今は入り口に立ったところ。

先頃当社でも3D-CADを導入しました。建築業界は早く対応しましたが、土木業界はこれからです。図面が立体になるだけでなく、計画、設計、工事、維持管理という一連の工程を同じデータで管理するため、官公庁への説明や工事業者への指示が正確にできます。また、施工機械にデータを取り入れれば工事が自動化でき、本州と比較にならないほど広い北海道の農地でも、無駄なく迅速に工事が進められます。さらに、地下構造物がどこにあるのかを正確に把握できるので、維持管理のメリットも大きいと思います。

道路や河川と異なり、農業土木は〝人間相手〟。

当社の設計業務には官公庁だけでなく、地元の土地改良区の職員の皆さんや農家さんが深く関わります。どんなに便利になるとしても、彼らが首を縦に振ってくれないと工事にまで辿り着けません。特に農家さんは自分の土地ですからこだわりも強い。排水管の素材ひとつとっても意見が分かれたりします。私たちは、構造的、水理的に妥当であることは勿論、経済的にも許容できるものを提案し、理解してもらわなければなりません。かといってケンカ別れは厳禁。打ち合わせの回数が道路や河川の設計と比べて格段に多いのは、そこを上手に調整し納得してもらうプロセスなのです。若手社員はみんな先輩に付いてこうした経験を積みます。ひとりで渡り合えるのは10年目くらいからかな。資格だけでなく粘り強くコツコツと取り組む姿勢が必要な仕事と言えます。

函館、室蘭、釧路、網走、稚内とどこへでも出向いて行く。

この半世紀、道内全域を対象に黙々とやってきました。頑張っていい仕事をして、役所の信頼を勝ち得てきたつもりです。社員がふえ、彼らに安定した生活を約束できたし地域にも馴染んだ。それがいちばん大きな貢献と言えるかも知れません。

壁に掛けている表彰状は設計業務の発注者である官公庁から受けたもので、いい仕事をしたという証です。設計の現場はシビアな条件の土地も少なくありませんから、さまざまな課題に対し皆が納得し許容できる提案や助言を行なって解決できたか、ということが評価されるのです。一応、設計基準書というものがあるのですがその通りやるだけではダメで、現場に即した対応を常に考えながら動かなければならないのです。

そんな私がいつも言うのは、「金太郎飴で、何が悪い」(笑)。金太郎飴はいつどこを切っても同じです。これを、条件がまったく違うさまざまな現場で実現させるのは実は至難の業。商売の基本は「まっすぐに仕事をすること」なのです。

機械化のニーズに応えながら、さらに「特化」していく。

北海道は食料基地として今後さらに期待も注目もされ、ますます大きな役割を果たしていくでしょう。当社は農業土木に特化していることが特徴なので、その方向は変えません。分野を広げて技術を分散させるより、深くいい仕事ができると考えるからです。集中できるぶん、最新のトレンドをつかんでいける。それが当社のアドバンテージであり、未来への大きな可能性に繋がっていくはずです。

最初から技術のある若者はいない。一歩ずつ成長して。

我々の仕事は「少しの数学力とたくさんの興味」があればできます。興味があれば諦めずに仕事が続けられ、そうするうちにだんだん面白くなっていきます。間違いなく、いい仕事です。理系はコミュニケーションが得意ではない人の割合が多いとも感じますが、苦手なりに皆、克服していけます。土木は、実は最先端技術を使ったカッコいい仕事です。頑張っただけ結果がついてくるし、当社は各種手当てやボーナスでそれを形にしています。地道に見えても諦めず一歩一歩進んで、技術力を積み上げてほしい。最初は単調でつまらない仕事だと思うことも多いかもしれませんが、地道にスキルを積み上げていけば、あるとき開眼して、自信が湧いてくるでしょう。当社はじっくり成長する人を見守っていく会社です。